「児童福祉司の担当ケースが半減した」というニュースの読み方 -ある政府委託調査研究を解剖する
1. 最近のニュースから
2026年5月13日、NHKは「虐待など対応 児童福祉司の担当ケース 平均25件に半減 国調査」と題するニュースを配信しました(*1)。冒頭はこう始まります。「子どもの虐待などに対応する児童相談所の児童福祉司について、1人が担当するケース数が平均で25件ほどと、前回4年前の調査と比べて半減していることが分かりました」。
この一文を読んだ多くの読者は、こう受け取るのではないでしょうか。「ああ、児童相談所の体制強化が進んで、現場の負担が軽くなってきたのか」。実際、記事はこの「改善」を増員によるものと位置づけています。
しかし、ほぼ同じ時期、別の文脈ではまったく逆の声が現場から上がっています。千葉県全体では「精神疾患等による長期療養者は、児童福祉司で14.7%」という高率な状態にあります(*2)。一職員として千葉県を相手取り、未払い残業代と劣悪な労働環境による損害賠償を求めて訴訟を起こした事例もあります(*3)。
この乖離はどこから来るのでしょうか。本稿で読者に共有したい「問い」は、けっして「現場の声と統計のどちらが正しいか」ではありません。今回の問いはより深く、
“ニュースの根拠になっている「国調査」とは、いったいどのような手続きで作られたのか?そしてその手続きは、政策判断の基礎データとしての厳密性を備えているのか”
ということです。これは、有料読者のニュースレターである、”数えられない子ども行政 ー児童手当誤支給から考える統計基盤の弱さー”のさらに深堀りしたものです。なぜわが国のニュースは信用できないのか、国の基礎データのいけないところは?について、さらに深く記載したいと思います。大学院生どころか、大学生でもわかるような致命的な過ちをぜひ感じていただければ幸いです。